権利証を無くした場合の不動産の売却方法と注意点
2024/04/08
権利証は、不動産を売却する時などに必要になる大切な書類ですが、普段はあまり必要になる機会がないのでいざ自宅を売却しようとした時に権利証がなくて慌ててしまうというケースがあるようです。もしも、権利証をなくしてしまった場合、不動産を売却する事は可能なのか?心配ですよね。
そこで今回は、権利証をなくした場合の不動産の売却方法と注意点というテーマで、詳しく解説していきたいと思います。
■権利証とは?
それではまず、そもそも権利証とはどのようなものを指すのかを解説していきましょう。権利証は、自宅の所有権が誰にあるのかを証明するための書類で、「登記済証」や「登記識別情報」などを指します。
「登記済証」とは、不動産に権利が登記された際に渡される冊子の事で、不動産を取得した人が所有者として記載されているものです。「登記識別情報」とは、不動産の所有者に通知される12桁の英数字の事を指し、現在は「登記済証」は廃止され権利証は全て「登記識別情報」に切り替えられています。
登記識別情報は、登記済証とは異なり1枚の書類に重要な情報が全て記載されており、普段は番号の部分が見えなくなっていますが必要な時に記載部分の封をはがして確認する形で使用します。権利証は、主に不動産の譲渡、不動産の売却、新規で抵当権を設定する時などに必要になります。
■権利証は再発行できる?
では次に、権利証は再発行できるのか?という部分について見ていきましょう。結論から言うと、権利証は再発行できません。「登記済証」や「登記識別情報」どちらも、なくしてしまった場合は再発行ができないのでしっかりと保管しておく必要があります。
■権利証をなくした場合の不動産売却方法
では次に、権利証をなくした場合の不動産売却方法について解説していきたいと思います。権利証は、非常に大切な書類ですが、万が一紛失してしまってもここでご紹介する方法で不動産を売却する事は可能です。そのため、もし権利証をなくしてしまった場合に不動産を売却する時は、下記の方法で手続きを行いましょう。
公証人に本人確認をしてもらう
まず1つ目は、公証人に本人確認をしてもらうという方法です。公証人による本人確認書類の作成は、比較的費用が安いのが特徴で認証手数料は3,500円となっています。必要な書類を準備し、公証役場に提出します。
必要となる書類は、下記のようなものが挙げられます。
・印鑑証明書
・実印
・身分証(顔写真付きのもの)
・登記の申請書類(または登記申請の委任状)
公証人の立会いのもとで、登記申請書や登記申請委任状に署名・捺印(または自認)すると、本人であるという認証文を付与してもらう事が出来ます。この認証文を法務局へ提出する事で、土地の権利証がなくても登記などの申請を行う事が出来るのです。
公証役場は、「日本公証人連合会」のホームページの「公証役場一覧」で検索できます。ただし、公証人による本人確認書類の作成は、平日に公証役場に行く必要があるのと、前住所通知が行われるという注意点があるので覚えておきましょう。
司法書士などに本人確認情報を作成してもらう
そして2つ目は、司法書士などに本人確認情報を作成してもらうという方法です。この方法は、申請を依頼した司法書士と面談し、不動産をいつ購入したか、権利証を最後に見たのはいつ頃かなどの質問に回答し、本人確認情報という書類を作成してもらうものです。
登記を依頼した司法書士に全て任せられる点や、書類の用意などを含めて手間がかからないというメリットがあります。しかし、先ほどご紹介した公証人による本人確認書類の作成などに比べると、費用が数万円~十数万円かかる点や、登記申請を委任していない場合は利用できないなどのデメリットもあります。
登記の委任に対する費用の他に、本人確認情報作成にかかる費用も必要になるので、あらかじめまとまった金額を用意しておく必要があります。司法書士による本人確認情報作成に必要な書類は、身分証(運転免許証やマイナンバーカードなど)のみとなります。
■権利証をなくした場合の注意点
それでは最後に、権利証をなくした場合の注意点を解説していきたいと思います。
本人確認書類作成には費用がかかる
まず1つ目は、本人確認書類作成には費用がかかるという事です。先ほども解説した通り、公証人による本人確認書類の作成も、司法書士による本人確認情報の作成も、どちらも費用がかかります。
公証人による本人確認書類の作成は3,500円程度ですが、司法書士に依頼すると数万円~十数万円の費用が必要になるので、事前にある程度のまとまった金額を用意しておくようにしましょう。
不正に登記情報が変更される事を防ぐ必要がある
そして2つ目は、不正に登記情報が変更される事を防ぐ必要があるという事です。基本的に、権利証だけで不動産の売買や登記情報を変更する事は出来ないため、第三者に悪用される可能性はかなり低いと言えます。
しかし、何らかの形で権利証が悪用される可能性はゼロではないため、不正利用されるのを防ぐ対処は行っておくと安心でしょう。そのため、第三者の不正を防ぐために、出来れば「不正登記防止申出」と「登記識別情報の失効申出」を行いましょう。
■まとめ
今回は、権利証をなくした場合の不動産の売却方法と注意点というテーマで、詳しく解説してみました。権利証は、自宅の所有者が誰なのかを証明するための大切な書類ですが、万が一なくしてしまっても不動産の権利がなくなる心配はありません。
しかし、権利証は再発行が出来ないので、不動産を売却する際には、他の方法で本人確認情報を作成する必要があり、ある程度の費用がかかってしまうので覚えておきましょう。
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