認知症になった親の不動産を売る方法
2024/06/13
■認知症になった親の不動産は売れる?
親が認知症になった場合、親が所有する不動産を家族が勝手に売ることはできません。不動産の売却は、所有者である親の意思能力が必要ですが、認知症で意思能力が低下している場合、親自身が売買契約を結んでも無効です。そのため、家族が代わりに売ることは法律上できません。
■認知症になった親の不動産を売る方法
認知症の親の不動産を売るためには「法定後見制度」を利用する必要があります。これは家庭裁判所が選出した法定後見人が親に代わって不動産を売却する制度です。
■法定後見制度を利用して売る時の流れ
法定後見制度を利用して認知症の親の不動産を売却するためには、いくつかの手続きが必要です。
まず、必要な書類を準備します。これには申立書、不動産会社が作成した査定書、売買契約書、不動産の全部事項証明書、不動産の評価証明書、本人または法定後見人などの住民票の写しまたは戸籍附票、収入印紙や郵送用の郵便切手が含まれます。
次に、家庭裁判所に対して法定後見制度開始の審判を申し立てます。必要書類を揃えて家庭裁判所に提出し、申し立てを行います。申し立てが受理されると、家庭裁判所が審理を行い、後見人候補者や本人からのヒアリングを経て、法定後見人が選任されます。
選任された法定後見人は、複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる不動産会社を選定して媒介契約を締結します。居住用不動産の場合、売却には裁判所の許可が必要です。裁判所の許可を受けた後に、法定後見人が売買契約を締結します。最後に、売却代金の決済と引き渡しが行われ、不動産の売却が完了します。
■認知症になった親の不動産を売る時の注意点
不動産の名義人を確認する
不動産の売却は、その不動産の名義人しか行えません。売却したい不動産の名義人を事前に確認しておくことが大切です。
家庭裁判所に申し立てを行う必要がある
法定後見人を選任するには家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。申し立てには必要書類の準備や費用がかかります。
財産管理には毎年収支報告が必要
法定後見人には財産管理の代理権が付与されますが、毎年の収支報告が義務付けられます。10万円以上の支出や財産の処分には家庭裁判所の許可が必要です。
法定後見の審判取り消しは出来ない
一度法定後見開始の審判が下されると、基本的に取り消しはできません。法定後見開始後は様々な手続きが必要になり、その際に取り消すことはできないので注意が必要です。
■まとめ
認知症になった親の不動産を売るには、法定後見制度を利用することが必要です。一度法定後見が開始されると取り消しができないため、親が健康なうちに家族で不動産の処理について話し合っておくと安心です。
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